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ラブホ街を通りすがりの高校生のまとまらない話
「すみません。助けて下さい。」
折角、ラブホ街を出ようとしたのに、いかにも育ちの好さそうな青年に呼び止められた。よく見ると、誰かに殴られたらしく、顔がはれているし、服もところどころ破けている。
「何でしょうか。僕は、通りすがりの健全なる高校生ですが。」
「君がものすごく強いのは先ほどこの眼でしかと見ました。その腕を見込んで頼みがあるのです。」
「ふ~ん、そうなんだ。それで、その頼みって何ですか。」
俺も特に用事ないし、暇なので、一応聞いてみる。
「今から、僕と一緒にあのホテル『ピンクのブランコ』に、行って下さい。」
「ごめん、そっちの趣味はないもんで。」
俺がその場を立ち去ろうとしたら、その好青年は必死に俺の腕にしがみついて来た。
「話は、最後まで聞いてください。僕の彼女が、デート中に4人組の不良たちに連れ去られ、そこのホテルに連れて行かれたのです。早く行かないと、僕の彼女がどんな酷い目にあわされているか・・・・・」
その場に泣き崩れんばかりだった。
「警察には、連絡したのかい。」
「いや、警察にはちょっと言えない事情がありまして。とにかく、お願いします。お礼ならいくらでもしますから。」
土下座せんばかりの勢いだったので、俺は好奇心もあって、行くことにする。正直、ラブホなるものも初めてで、今後の勉強になるかもしれないと思ったのである。
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