コスプレ野郎の正体は・・・・

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コスプレ野郎の正体は・・・・

「ええい、考えても俺にはわからないし、どうしようもない。こんな時は、体を動かすに限る。」  胸の中のザワザワ感をどうすることもできない俺は、手っ取り早く、ヤンキーや不良どもに遊んでもらおうとしたが、この日に限ってか出くわすことができない。もしかして、二つのグループをやっちまったのでラインで「狂い狼、出没!危険!」などと回っているのかと心配になった。  帰ってもすることもないので、探していたら、どこかのチームが顔色を変えてすっ飛んで行くのに出くわした。俺は嬉しくて、嬉しくて、跡をつける。  かなりの距離を走る。どこまで行くのかと思ったら、何とあの有名な渋谷氷川神社ではないか。  境内約4,000坪の渋谷最古の神社。創始は非常に古く、慶長十年に記された「氷川大明神豊泉寺縁起」によると景行天皇の御代の皇子日本武尊東征の時、当地に素盞鳴尊を勧請したとあることで知られている。境内には江戸郊外三大相撲の一つ金王相撲の相撲場の跡があるんだけど、その周辺に、他のチームや集団もかなりの数が集まっている。全員で100人くらいかな。  もしかして、ヤンキーや不良どもが俺をやっつけようと決起集会を開いたのではないかと、めっちゃ嬉しくなったんだけど、どうやら様子がおかしい。全員、異常なほどに殺気だっている。「武器のデパートや~」くらいに、手に手に武器を持っている。それでも、烏合の衆には変わりないか。  その中心で吠えている男の顔に見覚えがある。あの美人局のゴリラ男だ。 「俺たちの仲間が、コスプレ野郎にぶった斬られた。手首だけでなく、首を飛ばされたやつもいる。そりゃあ、俺たち、今までさんざん悪いことばかりしてきたけど、俺たちだって、人間だ。そこまでされる理由はない。そのコスプレ野郎が、この神社の境内に逃げ込んだ。草の根をかき分けてでも、見つけ出し、仲間の仇をとろうじゃないか。」  ゴリラ男の呼びかけに、総勢100人が答える。地響きが起きたようだな。  それにしても、一体、何が起こったんだろう。俺がラブホ街のピンクのブランコで暴れているちょっとした時間にだ。考えることは、あのゴリラ男たちは俺とあの二人組の女子高生にフルボッコされた腹いせに誰かに因縁つけて、文字通り返り討ちに逢ったんだろうよ。それにしても、あのゴリラ男の仲間を斬ったやつは何者だ。只のコスプレ野郎にしては、かなりの腕が立つみたいだしな。こりゃあ面白くなった。俺は気配を消して、成り行きを見守ろうと考えたのである。  
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