恋心は勘違いだと思いたい

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 母さん達が死んだ後、離婚して家から出て行った筈の双子の母親は戻ってきた。  いろいろあって俺はこの家をすぐ出る事になったから、それからの双子の事はまったく知らない。  けど、この部屋の様子を見ると何かあったのは間違いない。  慶介の顔からは、実の母親に対しての嫌悪感が感じられた。 「あんなのを母親とは思いたくない」 「けど今は居ないんだろ? どこ行ったんだ?」 「さぁな……あの女とはもう何年も会っていない。宗介の前ではあの女の話題を出さないでくれ」  扉は重苦しい音を響かせ、慶介の手によって閉じられた。 「今はこれ以上この部屋の事も、あの女の事も話せない」 「さっきから詳しい事何も聞けてねぇじゃんか……」  双子側にもいろいろ事情があるのは知ってるが、消化不良で気持ちがすっきりしない。慶介の気持ちも、部屋の事も分からずじまいだ。 「不満か?」 「当たり前だ! お前は弟なのに正体隠して抱いてきたり。脅されて家の担当にさせられたり。いろいろはぐらかすし、不満じゃないわけないだろ!」 「そうか……じゃあひとつだけ教えてやる」  そう言うと、慶介は俺の腕を引っ張って自分の部屋に連れ込んだ。そして、軽々と俺をベットに放った。 「いっ! 何して……!」 「さっき一階で、兄弟としてのあんたへの好意を考え改めたと言ったが……何故だかわかるか?」
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