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そう問うと、慶介は俺を組敷いて、俺の頬を撫でた。その感覚に身震いして、問については頭が回らなかった。
「そんなのわかるわけねぇだろ……」
「父さんや梓さんが亡くなってから……俺達はあの女や父方の親族から、あんたの事を忘れる様に強く言われた」
「そ、そうか……」
どちらも初めて会ったのは二人の葬儀の時だった。
周囲は双子の事をすげぇ心配してたけど俺には誰一人近寄らなくて。子供ながらに疎外感と孤独感を抱いたのを覚えている。だからあの人達が双子にそう言うのは必然的だろう。
思い出すとすげぇ気持ちわりぃから、表情にも出てると思う。
すると慶介は俺を包み込む様に覆い被さってきた。
「……俺はあいつ等が嫌いだ。俺と宗介の感情を踏みにじって、梓さんやあんたを悪人に仕立てあげた。俺達の家庭を壊したあいつ等は許さない」
その声の低さには、心の奥底から嫌悪している冷たさがあった。重なった体のぬくもりが掻き消される程に。
「だ、だからって……俺を恋愛感情で見る理由にはならねぇだろ……」
「なる……」
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