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「はぁ……」
あの家を出てから、気が付くとずっと溜め息を吐いていた。
わからない事はまだ多いし、慶介への接し方も気持ちの寄り添い方もどうしたら良いか。俺には考え付かなかった。
「いったいどうすりゃ……」
「ヒロ、何してるんだ?」
考えながら移動していたせいか、いつの間にかアパートを通り過ぎて居酒屋『泉』の前に居た。
頭を抱えている俺を、買い物帰りであろう聖悠が不思議そうに首を傾げて見ていた。
「仕事終わりか? 何かずいぶん疲れてんな」
「ま、まぁな……」
聖悠は同い年なのにすげぇ頼れる奴だけど、慶介の事とかは絶対相談出来ないよな……。
俺が話ずらそうにしていると、聖悠は店の戸を開けた。
「まだ店開けてないけど、何か食べてけよ。いつも店番してもらってるし」
「ん……じゃあ……」
一度落ち着こうと、とりあえず俺は店内に足を踏み入れた。
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