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木の暖かみがあるカウンターと、テーブルが2つ置かれた座敷があるこじんまりとした内装。聖悠の料理も美味いこの店は、俺にとって憩いの場だ。
俺はカウンターの椅子に座り、そこに突っ伏した。
「あー……落ち着くなぁこの店」
聖悠は厨房の冷蔵庫から出した麦茶を注ぎ、コップを俺の前に置いた。
「……ヒロ、何かやらかしたのか?」
「っ……別にやらかしてねぇよ」
弟に口説かれて寝たんだから完全にやらかしてはいるけど、深く話せなくてすげぇ気まずい。その様子を察してくれたのか、聖悠は深くは聞かず俺の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「何してっ……!」
「何あったか知らないけど、そんなに辛気くさい顔して悩んでるお前はらしくなくて可愛いと思ってな」
「可愛くねぇよ!」
意地悪く笑う聖悠を、俺は噛み付く勢いで睨み付けた。が、らしくないと言われて少し冷静になった。
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