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数分後、顔を上げれば料理が出来上がっていた。
目の前には鯖の味噌煮ときゅうりの浅漬け、白飯とお吸い物が盆に置かれていた。味噌と生姜の香りに食欲がそそられる。
「お、すげぇ美味そう」
「だろ? 一旦一息付けよ」
「わりぃな、いただきます!」
飯を頬張る俺を眺めていた聖悠はある事に気付き、首筋を指差した。
「ヒロ、それどうしたんだ?」
「んっ……何が……?」
「首、赤くなってるぞ?」
「っ!?」
言われて思い出した。さっき慶介にキスマークを付けられたばかりだった。俺は慌てて、手でそこを押さえた。
「あー! 多分虫じゃねぇかな! あ、そうだ聖悠! 次担当する所住み込みだから、しばらくは店の手伝いとか無理かもしれねぇぞ!」
「住み込み? だからお前あんなに悩んでたのか……大変だな。こっちは大丈夫だから、頑張れよ」
「お、おぅ! 落ち着いたらまた来るからな!」
焦りながらだけど、何とか誤魔化した。聖悠も納得した様子だ。
俺、最近聖悠の前で挙動不審な気がする。全部慶介のせいだな……絶対あいつの思い通りにはさせねぇからな!
そう心の中で誓い、俺は飯をかき込んだ。
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