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「さすが双子だな。二卵性でもやっぱり似てる」
同じように散らかっている机の上を呆れて一瞥した後、棚に目をやった。こちらの部屋は本が多く並べられている。
「宗介は昔から読書好きだったからな……ん……?」
慶介の部屋と同じ様に、棚の下段には趣味の物とは違う家族のアルバムが並べられていた。
「懐かしいな。昔母さんが作ってたっけ。少しだけ見ても大丈夫だよな……」
多少宗介に罪悪感を感じながらアルバムを開くと、開かなければよかったとすぐに後悔した。
俺と母さんの顔が写っているはずのものは鋏で切られているか、黒のペンで塗り潰されていて顔がわからない。
「宗介がやったんじゃねぇよな……」
犯人が思い浮かぶとすれば、双子の実の母親だ。
しかし、俺は宗介に正体を気付かれていない様だしまだ俺の事を聞けてないから、正直どう思われているのかわからない。
宗介の様子を見ると、子供の頃に兄だった奴を今も慕っている風にも見えない。
今のあいつからは、感情の冷たさみたいなものが出ている。慶介ほど俺には執着して無さそうに思えた。
「見なかった事にするか……」
写真の事は気にしないようにしてアルバムは戻し、掃除を再開した。
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