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キッチンの端にあったごみ袋の中にはコンビニやスーパーで売っている、洗った弁当の空容器が入っていた。
双子はほとんど料理はしない様で、出来合いの弁当や惣菜を多く食べているみたいだ。
家政婦が何人か担当はしていたみたいだが、家庭の味には縁が無さそうに思えた。
「ろくなもの食ってなさそうだし、これからは栄養面考えねぇとな」
とりあえず今日はサラダとカツカレーにしてみたんだが……もう少し健康的な和食にすべきだったか。
二人の好みがまだわからないから、少しずつ知っていかないとならない。
仕事でこうやってキッチンに立つと、主婦の大変さがよくわかる。仕事をやり始めた時は毎日献立を考えたり、栄養バランスよく作るのにはかなり苦労した。
そんな時は、母さんが昔作ってくれたものを思い出しながら料理してた。母さんも毎日キッチンに立って、美味い飯を作ってくれていた。
今は温かった家庭の面影は全くねぇし、完全な家族にはなれねぇけど。せめて美味い飯は毎日用意してやりてぇな。
しばらくは、それがこの家に居る意味だと思いたい。
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