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しつれんしたぁ
失恋した。
起きたら世界がなくなっていたらいいのにと思った。
けれど起きても世界はいつも通りだった。
ムダにお腹が空いた。
鍋を火にかけた。
かつお節を投げ込んだ。
味噌は多めにした。
ねぎをぶちこんだ。
おいしかった。
ぽろぽろと涙がこぼれて、はらはらと味噌汁のお椀の中に落ちていく。まるで涙が具になったように。鼻をすすりながら飲んだ味噌汁はしょっぱくて。あたたかさが体中に沁みわたるようで。
「さよなら」
つぶやいた言葉は湯気といっしょに消えた。
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