指先から、言の葉

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「なんか……魔法、みたいすね……」 口から思ったことがそのまま漏れてて、 やべ!はず……!と我に返って口を隠す。 「フフッそうでしょう? お花って、凄い力があるんですよ!」 俺とは正反対に、彼女は自信満々で嬉しそうだ。 俺が言ったのは、そんな花束を作るあなたは魔法使いみたいだって、意味だったんだけど…… 訂正するのも気恥ずかしいし、まぁいっか…… 「……えっと…… 優しくて、懐が広くて、肝っ玉据わってて、一緒に居ると落ち着く、元気が取り柄の人……です。 いつもありがとうと、誕生日おめでとうって気持ちで……」 気づくと俺は、本当に魔法にでもかけられたかのように、 すらすらと彼女にそう伝えていた。 彼女は、うんうんと何度も頷き、 「わかりました。心を込めてお作りしますね!」 と微笑んだ。 そっか……“Leaf of words” 何となくだけど、 その店名に込められた意味が、わかった気がした。
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