可愛いひと

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可愛いひと

 トントンがヤバい。  いや「全部僕にください」って言い出したのは僕だけど、でもでも、まさかあのトントンが、こんな風になるなんて。  とにかく、トントンがヤバい。  結婚式を挙げたのは、五月下旬のことだった。  神様が僕たちを祝福してくれているとしか思えない、そんな爽やかな快晴の日曜日で、中国から来てくれたトントンの家族と僕の両親、そして僕たちのことを知っている数人の友人、そしてなぜかトントンが勤めている会社の社長が飛び入り参加して、皆を驚かせた(社長さんはテレビや経済誌なんかでよく見かける、ものすごい有名人だ)。  式の終盤、トントンに捧げる僕の歌で大爆笑が起こったのは不本意だったけれど、レストランのスタッフが総出で心尽くしのおもてなしをしてくれたのも幸いして、終始和やかなムードで最高に幸せな式となった。  トントン一家をホテルまで送り届け、ようやく家に帰る頃には夜を迎えていた。  僕は引き出物の焼き菓子や、ウエディングケーキの用意で式の当日まで忙しく過ごしていたし、トントンも前日に中国出張から帰国したばかりだったので、ようやく二人きりになれた頃にはおたがい完全に疲れ切っていた。先に風呂に入り、トントンをベッドで待っている間にも、猛烈な睡魔が襲ってくる。  ちょっとだけ。トントンが上がってくるまでの間、ちょっとだけ休んでから……。と思ったところまでは記憶している。

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