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彼はここに来る前は王都で画家をしていたそうなんだけど、自然を求めてこの町にやってきたそうです。
彼の書いた桜の絵はそれはそれは綺麗だった。
「君に渡すために書いたんだ。」
「ありがとう」
その絵は今私の寝室に額に入れて飾ってあります。
それからも交流は続き、ある日彼からお話があると言われました。
桜の木に行くとすでに彼が待っていました。
「話って?」
彼は袋の中から一枚の絵を取り出し、私に差し出しました。
それは私の似顔絵でした。
「僕と付き合ってください。」
私は嬉しくてその場で
「はい。」
と即答しました。
それから私たちは、同棲することとなり、幸せな日々を過ごしていました。
ある日の昼下がり。
村長が村の人を集め集会を開きました。
その内容は、最近雨が少なく村のすぐそばを流れる川の水も減水してしまい、農耕に影響が出ていてこのままでは村が飢饉に陥ってしまうという内容でした。
そこで水を司る竜神様に雨ごいの儀式をするために、生贄が必要だということ。
そしてその条件にあてはまるのが私しかいないこと。
儀式は明日執り行われることが決まりました。
彼は私が生贄になることに対して、村長に猛抗議を行ってくれました。
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