桜の木の下で

4/9
前へ
/9ページ
次へ
 そうして僕は、特に仲のよかった与一に声をかけ、一緒に川の異変調査に向かうことにした。  もう夕方で暗くなってきていたが、今は時間が惜しい。  与一に準備を整え、夜にまた落ち合おうと約束し別れた。  家に戻りランタン、簡易的な食糧、テントなど調査に必要そうなものを準備した。  まだ家に彼女はいなかった。  「行ってきますとか言いたかったな。」  彼女に気持ちを伝えるために書置きを残していくことにした。  「明日の儀式までに、必ず川の異変を突き止めて帰ってくるから。安心して待っていてください。」  与一と落ち合い調査へと向かった。  まず川沿いに歩き上流を目指すことにした。  特に異変もなく森に入ろうかというところまでやってきた。  もう辺りはランタンの光が無ければ何も見えず、これ以上の調査は危険だろうということで、テントを立て朝まで休憩をとることにした。  翌朝テントを片付け森の中に入っていった。  森の中は少しぬかるんでおり、足元に気を付けながら慎重に進んでいった。  「こっちのほうは雨が降っていたのか。ならなぜ川の水は減水していたのだろうな。」  「まだわからない。もっと先へ進んでみればわかるかもしれない。」  もう昼になってしまった。  雨ごいの儀式は、今日の夜に村外れの祭壇で行うと言っていた。     
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加