悪魔の予言の続きには

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悪魔の予言の続きには

青年は昨日誕生日を迎えたばかりだった。そして日付が変わって一時間がたった今、冬夜空の下で彼は全財産の五万オンを握りしめて賭博店の抽選の列に並んでいるのだった。(※1オン=約1.01円) 今日は年に一度の一大イベントの日で彼の前にはすでに三百人目ほどが行列を作っていた。そして夜が明ける頃には行列は五百人を超え抽選が始まった八時には千人ほどが列を作っていた。八時半をまわった頃、彼に抽選の順番が来た。そして彼は引き当てたのだ。一番くじを。そしてこれは予言の通りなのであった。 十時丁度に店は開店して抽選番号一番の彼は目的の台に直行した。中央の通路をまっすぐに進み、三列目の左から五番目の台に座った。この日の為に設置されたホール中央の特設の十台には目もくれずに何の変哲も無いただただ普通の台に座った彼を何人かの店員と次から次に流れ込んでくる客はまるで異様な物を見るように横目で見ていた。彼は周りのそんな視線には気付いてはいたが、気にはせずに玉を打ち続けた。だがそんな好奇の目もほんの数分で満員御礼になった店内ではすぐに掻き消されてしまっていたのだった。     
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