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本来ここまでの目を養うには何十年と森によりそい、やっと手に入る経験の賜物なのだが、この少女はそれを数年で手にして見せたのだ。
「ふぅ、終わったー」
それも、かなり手際がいい。
生活の一部のように、少女は選別を終わらせると今度は走らず、慌てずに裏手から玄関の方へ歩く。
「おお、レイティアちゃん。こんにちは、お母さんのお手伝いは終わったかい?」
「あ、お隣のおじいちゃん! こんにちは! 今終わったの、明日は商人さんが来るからまたキノコと薬草持って行く準備してたんだぁ。どれくらいになるかな? お母さん喜んでくれるかな?」
「おぉそうかそうか。レイティアちゃんはこの村の若蔵よりもたくましくてえらいなぁ。わしの息子にも見習わせたいくらいじゃ」
「えへへー、でもスヘルおじさんは村を悪い人から守る守り人さんだから、わたしよりずっとすごい人だよ!!」
「そうかー? あいつはまだまだ、わしからすれば小童じゃよ。まぁそれでも望んで守り人になった分、偉いほうかのぅ。レイティアちゃんは何か将来の夢とかあるんかの?」
「うん、あるよ! 病気の人を治すお薬屋さん!! だってそうすればお父さんみたいな人も居なくなって、悲しくならないですむでしょ?」
「そうか………そうじゃな。うむ、レイティアちゃんは優しいのう」
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