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おじいさんは、歳のせいか、涙ぐむのをぐっとこらえ、よしよしと優しく少女の頭をなでる。
「大きくなって、勉強して、薬屋さんになったらお母さんに楽をさせてあげなさい」
「うん! またね、お隣のおじいちゃん!!」
「ああ、今度はお母さんも呼んで家に来なさい。夕飯をご馳走しよう」
「わーい、今日言ってみるね」
そう言って、少女は再び元気よく玄関の方へ走って行った。
「本当に、可愛い子じゃ。いい子に育ってくれたのう」
そのちいさな背中に告げるように、しみじみと語る。
「さて、良い天気だし畑仕事でも再開するかの」
見えなくなると、おじいさんは畑の方へ足を運んだのだった。
「ただいまー。お母さん、お手伝い終わったよ!」
「あら、結構早かったのね。ありがとう」
「ううん、いつも助かってるから当然だよ」
「いい子ね、それじゃあ私はまだ洗濯物を洗わなきゃいけないからご本でも読んでて」
「うん!」
その言葉を聞いて少女は目をきらめかせながら玄関をくぐって寝室へ向かっていった。
「ふぅ、ようやく貯まったし、明日ね」
疲れを取るように首を回し、母親は洗濯を続ける。
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