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就寝日和
朝、小鳥の小さなさえずりで目を覚ます。
開いた窓から差し込む日差しは春の訪れを感じ、温かな風は生い茂る緑の恵みの匂いをかすかに運ぶ。
実に良い天気だと言えた。
「ふぁ………」
気持ちの良い天気に、今しがた大きな欠伸と共にベッドからようやく体を起こす。
「んむーっ………」
どうやらまだおねむの様で、起きたものの目は未だ開いていなかった。
「起きた?」
そんな少女の部屋に入ってきたのは、母親だった。
「…………うん」
「休日だからって、だらだらしないの。もう昼よ?」
「………うん」
「確かに今日はいい天気だけど、寝過ぎると今日寝れなくなるわよ」
「だって、気持ちよかったんだもん。今日みたいな日はもうベッドから動きたくないくらい」
「そう言わないで、朝ご飯……というか、もうお昼ご飯ね。食べたら少しでいいからお手伝いして?」
「はーい……」
返事をして、少女はようやくその重たい腰を動かしベッドから下りる。
「食べ終わったら食器は流しに持って行ってちょうだいね」
「はーい」
次に少女が向かったのは昼ご飯の置かれたリビングの方ではなく、自分の寝室にある簡素なクローゼットだった。
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