喫煙室のアインシュタイン

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「おっちゃんはな、オートバイの事故で入院しとるねん。」 「そう。」 「おっちゃん、オートバイ、すっきゃからな~。」 「そう。」 「首を右に傾けて運転するとな、 世界の上も下も無くなるわな。 重力を無視しとる感覚が、堪らんのや。 まるで、宇宙空間や。 わしはな、アインシュタインに、 なりたいねん。 実はな、ぼんちゃんにだけ、教えるけどな、 わしは、 アインシュタインやねん。」 思い掛けない言葉に、 堪えきれず、爆笑した。 逝ってるな、この、おっさん。 普通に狂気を感じた。
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