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山頂まで、意外と捗った。
連日の嵐の後で足場の状態が悪かったが、バルッシュが久しぶりの山歩きに張り切ってくれたからだ。
魔物は多少出没したが適当に薙ぎ払い、草木をかき分けて登り着いたそこには、古代の遺跡の様な、崩れかかった彫像が店主の思惑の通り入口が土砂で埋もれている。
「洞窟って言っても、山頂から下に穴が掘られた感じだよね。自然のものではなく、誰かが意図的につくったよう…」
メイが入口の形状からそう判断した。
「いずれにせよ、ここの洞窟ってすぐに行くべきところか?五人で掘っても相当時間かかりそうだし。」
リーディがブロードソードで入り口に被った土山を刺してみる。
結構固い粘土質の赤土だ。ここらは滅多に嵐が来ないためこういう現象は起きにくい場所だと
店主は言っていたが。魔性の仕業なのだろうか?彼はそう思いつつ、ソードに付いた赤土を掃った。
「たぶんだけど、ここにはエターナル・メタルはないと思う。僕が店主に聞き出したところ、金鉱ではなく王族の道具が仕舞われているとかいないとか。でも、いつかはここにそれを探しに行かないといけない気もするけど…すぐにじゃなくて良いんじゃないかい?」
一行は話し合った結果、洞窟行きは見送り、北側の麓に出る山道を下って行った。
馬車の中でステラは思った。王族の道具って何だろうか…。
―王族…。つい最近までは自分に全く縁もゆかりもないものだと思っていたから。
未だに自分が王族の血をひくものと言われても、違うと思ってしまう。
―ムヘーレスの東の大陸であちこち移住しながら暮らした身としては、お城なんぞ行ったこともないし。13歳の時出場した大陸一の猛者を選ぶ大会では、確か主催がベルヴァントと言う軍事国家であったことは覚えている。優秀な騎士の卵を探すためだとか。それで王族だとかお城の存在を知ったんだ、私。
私はその大会の準決勝で倒した相手に撃たれて、生死を彷徨った。それを助けてくれたのが、碧い眼の男の子。当時からしてでっかい私より頭一つ小さい男の子だった。
でもそれはもう4年ほど前のことだ。助けてもらった後、彼は立ち去っていて、けれども話した記憶はあるんだ。憎しみと悲しみのあの瞳はどこで見たんだっけ…。
彼と一番最初に出会ったのはどういう状況下だった??だからあの子がリーディとは、まだ確信が持てないんだよね。
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