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「気持ちがいいわねぇ」
シナモンの香りのする焼き菓子を食べながら、キャロルはリーディのグラスに冷茶を注ぎ足す。空は青く、気候も爽やかだ。
「そうだな」
リーディはその冷茶で少し喉を湿らせて答えた。
「魔法の才能って…なんだろうな。ほら、キャロルは回復系などの癒しの呪文が得意だろう?修道院にいたせいもあるかもしれないけど…。」
「確かにね。でも私はあなたの様に、攻撃呪文…炎や閃光を操れないわ。」
「俺さ、剣術とか攻撃呪文とか、攻めのモノは得意なのに、護りの攻撃補助呪文や回復の呪文は得意ではないんだ…できないことはないが」
「性格も関係するのかしらね…ふふっ冗談よ。」
キャロルのその答えに、首を傾げつつもリーディは言い続ける。
「コウは補助呪文得意だし。ステラは…魔法が苦手だけど意外に回復系の方が使いやすいとか。
ほら、この前初歩的な回復呪文を唱えたけど、結構効いたんだ。これから向かう俺の故郷の人間は
たいていが魔法は得意だけど、やっぱり得意不得意分野があった。そして実のところ、俺は大して得意な方ではない。どうしても姉と比べているせいもあるけど…さっきも言ったように俺の場合、魔力の容量が使える呪文の量の割には少ないし。」
彼が苦肉の策で会得した魔法剣も、気力を節約できる理由からだと前に言っていた。
魔力においてはパーティの中ではキャロルが随一だ。
「…でもあなたならきっと、旅の実践の中の鍛錬で、魔法力も増えていくんじゃないかしら。
私は旅を始めてから伸びた部分もあるしね。」
「…そうか…。」
そうリーディは静かに答えながら、たぶんこの彼女は自分の祖国は居心地が合うのだろうと感じていた。
スフィーニまでの海路を半分過ぎたころ…海図から言うと諸島群が肉眼でも確認できるかできないかという位置に、一行は夜も無理しない様に碇を下ろして船を海原に停泊させていた。
野営はステラ一人。有難いことに夜の間も海は穏やかで、念のために鋼の鎧は装備していたものの、
籠手などは外していた。
「…さむっ…」
鎧の上からでも構わず毛布を体に巻き付けて、ステラは呟いた。関節部分や、首のあたりの金属のつなぎ目から冷たい潮風が入ってくるのだ。
「砂漠ほどではないけど、冷えるな…」

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