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妻は俊太が2歳の時に亡くなっている。きっと俊太に伝えたかった思いはたくさんあったはずだ。でも、それができずに亡くなった。だから、俊太には母(ママ)の記憶はない。俊太にとってのママは、遺影の中にしかいない。そんな実感できないママを、俊太はどう受け止めているのだろうか。俊太なりに折り合いをつけることができているのだろうか? そのことが、私は気になっている。もっと大きくなれば、“ママがいた”という認識をするのだろうけれど…。
だから、俊太に“現実のママ(母親)”が必要なのではないかと考えるようになっている。子供を育てる上では、やはり父親だけではなく、母親が必要だと感じている。それは、自分が母親の愛情に、これまで何度も救われてきたからだ。その役割は、おばあちゃんではできない。
私には、もう1つ悩みがあった。それは、俊太が夜寝る時に、妻が当時2歳の俊太のために買った小さな布団の端を口にくわえないと寝られないことだった。母に話したところ、そんなことはどの子にもあることで、自然に離れるようになるから心配する必要はないと言われた。「あんただって、ぬいぐるみがないと寝ることができなかったでしょう」と言われてしまった。それにしても、そろそろ卒業してほしいと思っている。俊太にもこれまで何回か言っているが、やはり手離せないでいる。でも、一方で、現実的に妻と俊太を今繋いでいるのは、その布団だけだと思うと、俊太がその布団をしゃぶっている姿に涙が出そうになる時もある。
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