第9章

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次の日の朝、陽奈がキッチンに行くと、もうお母さんと翔の母は起きていて、朝ごはんの用意をしていた。その足元にはライがいる。 (まるで本当の親子みたい。) 二人が幸せそうに話している姿を、陽奈は微笑ましい気持ちで見ていた。 「おお、うまそう! 卵焼きと金平ごぼうだ」 と大原。 「あ、僕の好きな豚汁もある!」 翔も嬉しそうだ。 「あの二人はご飯を食べてる時が、一番幸せそうね」 翔の母が笑った。 「はい! すごくおいしそうに食べてくれるから、とっても張り切れます」 陽奈も笑って答えた。 「おはようございます」 理沙と久美子だ。 「おはよう。理沙ちゃん、久美ちゃん」 「いつもごめんね。陽奈ちゃんに甘えて……」 「あ、今日は翔君のお母さんが、ね、ライちゃん」 「本当うまいよ。二人とも早く座って食べな」 大原に言われて、二人は椅子に座った。 「理沙ちゃんも久美ちゃんも帰りの遅い仕事なんだもの。そんなに遠慮ばかりしていると、体を壊しちゃうわよ」 「ありがとう、陽奈ちゃん。それに翔君のお母さんも。初めまして、理沙といいます。」 「初めまして、久美子といいます」 二人は頭を下げた。 「自己紹介が遅れました。翔の母です。至らないところも多いですが、翔ともども宜しくお願いいたします」 翔の母は、深々と頭を下げて言った。 「こちらこそよろしくお願いします」 理沙と久美子も深々と頭を下げていった。 昨日と違い、暖かそうな白のセーターにグレーのジーンズを履いて、ベージュのエプロンをしている翔の母は、清楚な感じで美しく見えた。 「私も、久美ちゃん。理沙ちゃんとお呼びしてもいいかしら」 「はい。その方が嬉しいです。ねっ、久美ちゃん」 理沙も久美子も笑顔で返した。翔の母はにこやかに笑いながら、二人のために温かいお茶を入れていた。 「有り難うございます」 二人とも、翔の母に好感をもったようだ。
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