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次の日の朝、陽奈がキッチンに行くと、もうお母さんと翔の母は起きていて、朝ごはんの用意をしていた。その足元にはライがいる。
(まるで本当の親子みたい。)
二人が幸せそうに話している姿を、陽奈は微笑ましい気持ちで見ていた。
「おお、うまそう! 卵焼きと金平ごぼうだ」
と大原。
「あ、僕の好きな豚汁もある!」
翔も嬉しそうだ。
「あの二人はご飯を食べてる時が、一番幸せそうね」
翔の母が笑った。
「はい! すごくおいしそうに食べてくれるから、とっても張り切れます」
陽奈も笑って答えた。
「おはようございます」
理沙と久美子だ。
「おはよう。理沙ちゃん、久美ちゃん」
「いつもごめんね。陽奈ちゃんに甘えて……」
「あ、今日は翔君のお母さんが、ね、ライちゃん」
「本当うまいよ。二人とも早く座って食べな」
大原に言われて、二人は椅子に座った。
「理沙ちゃんも久美ちゃんも帰りの遅い仕事なんだもの。そんなに遠慮ばかりしていると、体を壊しちゃうわよ」
「ありがとう、陽奈ちゃん。それに翔君のお母さんも。初めまして、理沙といいます。」
「初めまして、久美子といいます」
二人は頭を下げた。
「自己紹介が遅れました。翔の母です。至らないところも多いですが、翔ともども宜しくお願いいたします」
翔の母は、深々と頭を下げて言った。
「こちらこそよろしくお願いします」
理沙と久美子も深々と頭を下げていった。
昨日と違い、暖かそうな白のセーターにグレーのジーンズを履いて、ベージュのエプロンをしている翔の母は、清楚な感じで美しく見えた。
「私も、久美ちゃん。理沙ちゃんとお呼びしてもいいかしら」
「はい。その方が嬉しいです。ねっ、久美ちゃん」
理沙も久美子も笑顔で返した。翔の母はにこやかに笑いながら、二人のために温かいお茶を入れていた。
「有り難うございます」
二人とも、翔の母に好感をもったようだ。
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