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「ただいま~」
陽奈と翔の母親が帰ってきた。翔はその声を聞くと、
「おかえり!」
と言って玄関へと走っていった。大原も出迎えに行った。
「どこへ行ってたの?」
「堺東よ。翔君の冬物の服を買いに行ってたの」
「僕も兄ちゃんと陽奈ちゃんと母さんのプレゼントを選びに行ってたんだよ。」
「ええ! 本当? 嬉しい! ありがとう! なあになあに? プレゼントくれるなんて幸せ!」
陽奈と翔の母親は抱き合って喜んだ。
「大げさだな。そんなに喜んでくれるなら、もっといいものにすれば良かった」
大原の嬉しそうな声も聞こえる。
「……楽しそうですね。翔も妻もここに住まわせてもらって本当に幸せですね。羨ましいくらいです」
玄関でわいわい騒いでいる翔たちの声を聞いて翔の父が寂しそうに笑った。
「陽奈ちゃん、兄ちゃんがね、陽奈ちゃんがどんな指輪が好きかなって一生懸命探してたよ。今度一緒に行ってみてもらうといいよ」
「ええ!」
翔の言葉にびっくりした陽菜は大きく目を見開いたまま、顔を真っ赤にしてそっと両手を頬にあてた。大原も翔が話すと思ってなかったらしく驚いていた。
「……良かったら、今度一緒に行って指輪を買おう。きっと気に入ったのが見つかるよ」
と……、少し頬を赤らめて言った。
陽奈は頷くことも出来ず固まってしまったが、幸せで幸せで表に出て走り回りたい気持ちになった。恵子が微笑ましそうに陽菜を見た。
「翔、お母さんは?」
「キッチンにいるよ。知らない人と……」
「え! お客様?」
陽奈が慌ててキッチンに行くと、お母さんは嬉しそうにマフラーを巻いて手袋をかざしていた。その傍に申し訳なさそうな様子の翔の父がいた。その翔の父の足元でライが幸せそうな顔で佇んでいた。
「ライ! 来い!」
翔の強い声にライは驚いたように翔の顔を見た。翔はライを待たず、キッチンを出た。ライも慌ててついて行った。
「翔の奴、腹減った腹減ったって言ってたのに……」
大原さんが困り顔で翔の後姿を見た。
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