第10章

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大原は雨谷と金髪の男を紐で縛り上げる。 「痛い~。なぁ、二度とここへは来ぇへんから見逃して~。部屋の荷物もあんたの好きにしたらええから~」 雨谷は急にしおらしい口調になって、涙をいっぱいためて上目遣いで大原を見た。 「じゃあ、そうさせてもらう」 「ほな!」 何を勘違いしたのか雨谷は得意げにニヤリとした。 「警察には引き渡すぞ」 「はぁ!? あんた、女にそんなことして心が痛まへんの?」   「おんな~? ただの盗人だろ。力の無い者を虐げるクズやろ……」 大原は嫌悪感を露わにして眉を寄せると嫌味たっぷりに言った。サイレンの音が聞こえてきた。 「お迎えがきたな」 「トイレに行きたい! トイレ! 漏れそうや! トイレ! トイレ!」 サイレンの音におびえた金髪の男は喚きだした。 「そんな事知るか。そこでしとけ。」 大原に相手にされないと……、 「怖い、助けて。警察だけは嫌や! 堪忍! もうここへ来ぇへん! 今回だけ見逃して~」 また大声で叫びだした。 「うるさい。黙れ! お前ら、一回、刑務所に入って心入れ替えて来い」 大原は、雨谷と金髪の男を睨みつけて怒鳴り返した。 「大原さん、ライちゃんがいないの。私をかばってこの人たちに棒でひどく叩かれたの……早く病院に連れて行かないと……」 お母さんがよろけながら外に出てきた。大原は慌てて支えに行えた。 「ライならここに……あれ? 今までいたのに」 どこにもいない。 「きっと、あいつ、翔を呼びに行ったんでしょう。こいつらを捕まえた事を知らせに」 「まあ! 大原さんもケガしてるわ! 早く手当てしないと……!」 お母さんは血の付いた大原の腕を見て驚いて叫んだ。 「これくらい、平気ですよ」 「大丈夫ですか!」 パトカーから降りてきた警察官が、大原に訪ねた。 「泥棒はそいつらです!」 お母さんは警察を見てホッとしたのか、胸を押さえて蹲るように倒れた。その様子を見た警察官は慌てて救急車を呼んだ。
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