第10章

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「家の中にカメラを設置しています。それを見て頂ければ、その時の様子が分かると思いますので……」 大原が、警察官と話をしている間に翔とライが帰ってきた。翔は、大原に支えられているお母さんをそっと反対側から支えた。 「ああ、君は……」      「あ、あの時の……」 翔は会釈すると、 「ごめんな。約束したのに……なかなかこいつらを捕まえられなくて……」 「いいえ、有り難うございました。これで安心して暮らす事が出来ます」  翔は警察官に、心を込めて頭を下げた。 「母さん。これで安心だね」 「ほんとに良かったわ。ほんとに辛かったわ。もう、大丈夫なのね」 お母さんは小さな目に涙をいっぱいて翔を見つめた。 「母さん、ごめんね。辛い目に合わせて、ちっとも守って上げられずに」 ライだけじゃない、お母さんだってひどい目に遭っていることを翔は知ってる。自分が無力なせいで、守ることも出来なかった。 「何を言うの、翔ちゃん。あぁ、ライちゃん有り難う。ほんとに有り難う」 心配してお母さんの涙をなめるライを抱き寄せて、何度も何度も礼を言った。 「翔、カメラで録画したやつを持ってきて」 「分かった」 翔が急いでメモリーカードを持って戻ってくると、ちょうど救急車が到着した。 「じゃ、翔、画像を見せて警察の人に説明して、俺、母さんと行ってくるから」 「兄ちゃんが残った方がいいよ。現場にいたんだから、俺が母さんと行くよ」 そう言うと、翔はさっさと救急車に乗って行ってしまった。
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