第2章

2/47
185人が本棚に入れています
本棚に追加
/223ページ
「どうしましたか? どうぞ、こちらに上がって来て下さい。暖かいですよ」  部屋から顔を出して、笑いながら陽奈に手招きした。 「ありがとうございます」  陽菜は慌てて靴を脱ぎ、玄関の隅に揃えて置いた。呼ばれた部屋はキッチンだった。そこには、四角いテーブルを囲むように五脚のイスが置いてあった。 側には石油ストーブが赤々と燃えて、上に置かれたヤカンからふわふわと湯気が立っている。 婦人はマゴマゴしている陽奈に声をかけた。 「外は、寒かったでしょう。まずはお茶でも飲んで、暖まりましょう」 香ばしい匂いのするお茶にお饅頭を添えてテーブルの上に置いてくれた。 「さ、どうぞ、どうぞ」 座るように勧めてくれた。でも、陽奈は、その前に、どうしてもお願いしたいことがあった。
/223ページ

最初のコメントを投稿しよう!