第2章

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「みんなそれぞれに事情があるものよ。仕事はすぐに見つかるわ。陽奈ちゃんも最初からそんなに硬くならないで、気楽に、ね。陽奈ちゃん」 お母さんの言葉に不安でどうにかなりそうだった心が、ゆっくりと和らいでくるのがわかる。スミレ荘の人たちの心のあたたかさに幸せを感じた。 「はい。ありがとうございます」 陽菜はまた頭を下げた。 「また~、そんなに硬くなって、陽菜ちゃんたら」 理沙と久美子が同時に言った。それがおかしかったのか、二人は急にお互いの顔を見て笑いころげた。 陽奈の隣にいる京子も、陽奈の肩をポンポンと叩いて笑っている。陽菜も一緒に笑いたかったが、緊張して出来なかった。
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