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第4章
それからしばらくして、季節は梅雨に入った。今年は、特に雨の多いジメジメした梅雨になった。
「こう雨が続くと、洗濯物が乾かなくて大変だわ」
久美子がため息を吐いた。
「ほんと、傘のいらない日がないものね。私はコインランドリー使ってるから、洗濯物は心配ないけど、久美子も使ったら?」
理沙が言った。
「そう言えば、近くにできたわね」
「そう、大きくてキレイよ。おすすめだと思う」
「陽奈ちゃんはどうする?」
久美子が聞くと、陽奈は、
「私は、家で洗います」
「陽奈ちゃんは、倹約家だもんね。……うん、私もそうしよう。今月は服を買いすぎちゃったから、節約しないと……」
久美子は、苦笑いした。
「お母さん元気ないわね」
理沙は台所でため息をついてるお母さんを見た。
「なかなか、次の人が来ないから……」
久美子が、心配そうに言った。
「こんなに長い間、話を聞きに来る人もないのは初めてって、お母さん言ってました」
お母さんの元気がなくなると、陽奈まで元気がなくなってしまう。
「こら、陽奈ちゃん、元気出して! でないと、お母さんまで元気なくなっちゃうよ」
「……はい……」
陽奈は笑顔で返事したが、すぐにまた暗い顔になってしまった。
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