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「あの子いくつなの?」
いくぶん明るい顔になったお母さんが聞いた。
「うん。この前、歳を聞いたら、十七って言ってたわ」
「えっ、十七歳、その人って、雨谷さんの弟か何かなの?」
「違うって、言ってたわ」
「じゃあ、何で、あんな人と一緒にいるのかしら?」
「分からない。名前、聞いても言わないし、歳以外は何を聞いても申し訳なさそうに黙ってしまうの。ほんとに変だと思うけど、あんまり、いろいろ聞くのも可哀相な感じになって」
「そう……」
お母さんは二階にいる男の子が、理沙たちに危害を加える人間ではないということが分かって、ホッとした顔をしていた。
「もう、お母さん、元気出してよ」
理沙がポンとお母さんの背中をたたく。
「二階のことは気にしないで、私たちも子供じゃないんだから。お母さんは大家さんらしく、デンと構えてて……ねっ!」
「ありがとう……」
そんなこんなで、四人は楽しく話をした。
真夜中、廊下にお母さんの姿はなかった。心配そうに二階を見上げながら、行ったり来たりしていたのに……。今夜は安心して眠っているのかも知れない。
陽奈も、久しぶりにホッとした気持ちになった。
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