第4章

11/12
185人が本棚に入れています
本棚に追加
/223ページ
「あの子いくつなの?」 いくぶん明るい顔になったお母さんが聞いた。 「うん。この前、歳を聞いたら、十七って言ってたわ」 「えっ、十七歳、その人って、雨谷さんの弟か何かなの?」 「違うって、言ってたわ」 「じゃあ、何で、あんな人と一緒にいるのかしら?」 「分からない。名前、聞いても言わないし、歳以外は何を聞いても申し訳なさそうに黙ってしまうの。ほんとに変だと思うけど、あんまり、いろいろ聞くのも可哀相な感じになって」 「そう……」  お母さんは二階にいる男の子が、理沙たちに危害を加える人間ではないということが分かって、ホッとした顔をしていた。 「もう、お母さん、元気出してよ」 理沙がポンとお母さんの背中をたたく。 「二階のことは気にしないで、私たちも子供じゃないんだから。お母さんは大家さんらしく、デンと構えてて……ねっ!」 「ありがとう……」 そんなこんなで、四人は楽しく話をした。 真夜中、廊下にお母さんの姿はなかった。心配そうに二階を見上げながら、行ったり来たりしていたのに……。今夜は安心して眠っているのかも知れない。 陽奈も、久しぶりにホッとした気持ちになった。
/223ページ

最初のコメントを投稿しよう!