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実を言うとあなたとあちこちで会っていたのは知っていたんですよ
でも女の人だから声をかけるのはやめたんです
軟派なヤツだと思われるのが関の山だしね
それを聞いて耳が熱くなってきたぁ
知ってたのぉ?
それから、たわいもない話をしてその人とは、別れた
それから一年数ヶ月後に思いもよらない場所でその人と再会することになる
わたしは転職しようと会社訪問に出かけたときのこと
応対に現れたのが紛れもなく彼だったのだ
他の人をよそに、二人ともかなりビックリしたわけで
あの時、個人情報だとか言っていたわたしの情報は彼に丸わかりになってしまった
面接が、終わり、なんだかざわつく気持ちのまま帰宅した
会社の合否より彼のことが気になる自分がいた
3日後、採用通知がきた
嬉しいのはどっちのことで?
あの人に会えるから?
それとも新しい生活に希望を持ってのことか?
前者に決まってる
自分にウソはつけないから
出社初日、ざわつく気持ちを封じ込めることに必死だった
まずは不慣れな仕事を覚えるのが先だと決めて頑張った
同僚に聞いたらあの人はオーナーの息子さんで人事部にいるんだそうだ
えー、将来の経営者じゃない
一気に気持ちが萎えた
私の手が届く人じゃなかったんだ
それからは仕事に打ち込んだ
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