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「おはよう」
「……おはよう」
嫌な奴を校門の前で待ち伏せしたことはあるけど、好きだと告白してきた奴に待ち伏せされたことは初めてだ。
そのまま何食わぬ顔で歩き出そうとしたら、沖田に腕を掴まれた。
「一晩考えてくれた?」
「考えた」
「じゃあ、もう一回告白するからOKして」
「それって変じゃね?」
あっという間に私たちの周りに人だかりが出来ているし。
「沢口さん、僕と付き合って下さい!」
私の前で跪いた沖田が、期待を込めた目で私を見つめる。私たちを取り囲んでいる連中も。
「私、沖田の夢を見たんだ」
「え?」
「年老いた私が死ぬ瞬間、沖田は私のそばにいてくれる?」
「もちろん!」
「じゃあ……答えはOKです」
「えっ!?」
「OKって言ってるでしょ! よろしく」
「うわあ! やったー! ありがとう! 沢口さん。一生大切にする」
「うん。……私も」
私の呟きは周りにいたみんなの拍手や歓声にかき消されてしまったようだけど、まあいいか。
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