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沖田と付き合い始めて一か月。手を繋いで歩くのは、まだ恥ずかしい。
でも、お互いが相手の特別な存在だと感じられる。
それは別に恋人同士じゃなくても、家族だったり友達だったり。
誰もが誰かの特別な存在。そんな当たり前のことを、沖田は私に教えてくれた。
「野村! ナイスプレー!」
野球部の練習を見ていた私が声を張り上げると、ベンチにいた沖田がギョッとした顔で振り返って、こっちに走ってきた。
「なんで野村の名前知ってるの?」
「野球部のメンバーの名前、全員覚えたから」
「なんで!?」
「だって、みんな沖田の大事な仲間でしょ?」
「うん」
「なに泣いてるのよ」
「……俺、穂積を好きになって良かった」
「私も。沖田を好きになって良かったよ」
「マジ?」
嬉しそうな沖田の笑顔は夏空よりも眩しかった。
END
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