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卒アル委員会の最初で最後の集まりは、あっという間に終わった。
不完全燃焼な思いが私の足取りを重くする。
昇降口で靴を履き替えながら、ふと思いついて「駅前のファーストフード店で作戦会議をしよう」と誘ったら、沖田は真っ赤になった。
「俺、女の子と二人で飲食店に入ったことなんてないし。一体何を話したらいいか……」
「卒アルについてに決まってるでしょ!?」
大丈夫か? こいつは。
学校から並んで歩く間も、沖田はどこかボーっとしていて電柱にぶつかりそうになったりしていた。
ファーストフード店に入れば入ったで、変なことを言い出す。
「リア充ばかりだね。……俺たちもそう見えるかな?」
「バカなこと言ってないで、本題に入るよ。授業風景はこの間、プロのカメラマンが撮っていたから、お弁当を食べているところとかは?」
「体育の中松先生に頼んで、ドッジボールをやっているところを撮らせてもらえないかな?」
ポテトをつまみながら、二人でいろいろアイデアを出し合った。
「あ、沢口さんも食べて」
あっという間にポテトを完食してしまった私を見て、沖田は自分のポテトを私の方へ向けた。
お、こいつ、なかなか気が利くじゃないか。
「ありがとう」
一つ摘まんで口に入れると、沖田がニコニコしながら見ていた。
「何?」
「幸せだなぁと思って」
「はあ!?」
自分のクラスにこんなわけのわからない奴がいたとは。
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