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「まあ、落ち着いて。あなたは馬鹿なと言ったが、そもそも依頼人が嘘を吐く理由がありますか?」
「それは……」
「しかも、死後百年経っても成仏できないほどに己の死を受け入れられず、その魂は今もこの世をさ迷っている。俺はネクロマンサーとして、このことを放置することはできません。ただ、あなたや彼女にとっては昨日今日のことでも、現実には百年も昔のことです。今さら証拠とか、関係者の証言など望むべくもない。そもそも、当時砦にいた人々は全員亡くなっています」
「では、どうすると?」
「要は、依頼人が満足できる結論に辿り着ければそれで良い。だから、まずは彼女の話を全て聞いて、その上で知っていることがあれば証言してほしい……いかがです?」
レオはしばらく考えているようだったが、結局はユニアスの提案を受け入れた。
「分かった、私にできることであれば協力しよう。ただ役に立てるかどうかは疑問だが」
「ありがとうございます」
気が変わらないうちにとでも思ったのか、被せるように礼を言うとユニアスは静かに微笑った。
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