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「証人などと言いながら、本当のところ最初から被告人扱いだったということか。弁護人がいないようなので、自ら反証しても?」
「役者が少ないもので、ご不便をおかけします……どうぞ」
「そもそも、本当に内部犯による犯行なのだろうか? もしかすると、前夜にスパイが忍び込んでいたという可能性も」
「それは、現場にいたあなたが一番分かってるんじゃないですか。砦は結局最後まで陥落しなかった。スパイがいたならそのまま火を放つことも飲料水に毒を盛ることも可能だった。どちらもなかった以上、スパイの存在は否定する方が自然だ。いかがです?」
「確かに。だが唯一の医療関係者ということで、彼女の存在は砦の中では目立っていた。敵の襲撃前、明け方すぐに異変に気付く人間がいてもおかしくない。門の外や櫓には篝火と見張りが絶えなかった。外に持ち出せなかった以上、死体はどうした?」
「一旦砦のどこかに隠して、翌日の戦闘の際のどさくさに紛れて他の戦死者の中に混ぜてしまえば、誰もが戦禍に巻き込まれたものと信じて疑わない」
「どこかに、か。今の人間は随分と曖昧な言い方をするんだな」
皮肉めいた声音を、ユニアスは涼し気に受け流した。
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