【第1話】とあるネクロマンサーへのインタビュー

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 忌憚ない意見をどうも。まあ、大抵の人間はそうなんじゃないの。それもこれも例の大国同士の大戦の際、時の権力者の命令で投入されたネクロマンサーは、実際ひどい状態の死人を大量に戦場で引き回してたそうだから。所謂ゾンビみたいなやつ? 本来、一人のネクロマンサーが一度に蘇らせる死者は一体。その常識を超えて、十体、二十体とやらかせば当然魔力不足で精度は落ちる。生前とかけ離れた姿のモンスターを大量投与した結果、最後は死者も生者も入り乱れて、ぐっちゃぐちゃの正に地獄絵図だったって。その光景が余りにも強烈だったせいで、本来の姿から遠のいたことは事実だろうね。 ――近年、ネクロマンサーの数が激減しているのもその影響ですか?  そうだろうね。イメージの低下で、敬遠されたり差別されたりしたことは多大にあるよ。 ――それに対して、対策を講じられたことは?  会議なんかはしょっちゅうやってたみたいだけど、定着したイメージの払拭って第三者が思ってる以上に大変だよ。元々、神事と違って国が保証してる領域ではないし。慈善事業って訳にも行かないから、依頼がなければ干上がるし。それなら別の仕事と掛け持ちで……ってほど需要もないから、免状を返還して廃業する同業が後を絶たない。かく言う俺の父親も、死んだわけじゃなくて突然卒業宣言かましやがった。どこのアイドル気取りだよ。 ――はははは。それより、免許制だったんですね。初めて知りました。  当たり前だろ、そうでもしなきゃ無秩序な集団になりかねない。魔術師なんかは違うの? ――いえ、魔術師は確かもっと厳しいですよ。協会に所属して、一定ランク以上の身元引受人がいなければ商売どころか街にも住めませんから。     
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