一章 僕らの思い one

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燈の思いつきに苦言を呈したのは万騎くんだ。苦手なのだろう、声色から気が重いことが伝わる。ユズくんがそれを聞き万騎くんを励ます。 「いーじゃん、始めはそういうもんだし」 奏ちゃんも励ますように 「奏もまだあんまり上手には出来ないですし一緒にやりましょう!」 と明るく声を掛ける。するとここまで黙っていた優亜さんが声を上げる。 「男が廃るぞ、つべこべ言わずやるっ!」 僕も万騎くんに声を掛ける。 「まあ、無理にとは言わないけど、やってみたら?ちょっとだけでも。ね?」 「わかったってもう、やるよ、やります。」 万騎くんは渋々、いや声色からして渋々と言うよりもやる気に満ちて言葉を吐き出した。考案者の燈はみんなの同意が得られたことを確認して、じゃあまずは私から…と言って外郎売を詠み始める。 携帯を通して仲間と電話でアドバイスを言うこと。これが本当に切磋琢磨という熟語に合っているかはわからないもののそれでも努力という熟語には見合っているだろうと燈のつっかえながらの外郎売を聞きながら僕は密かに思った。
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