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「あっ、高岡さんが来たわ・・。高岡さん! 川橋さん出社してるわよ」
私はその声に挨拶しなくちゃと考え、席から立ち上がって、絵里の見つめている方を見た。
えっ・・? あれは・・ドイツで会った・・人・・。だけど・・高岡・・ 先輩・・?
その男性は私を見て微笑みながら近付いて来た。
「君が川橋梨花さんだね・・ あれ? 君は確かドイツで・・」
私は心臓が高鳴っていた。ドイツで私を助けてくれたあの人だ・・ それも・・もしかしたら高岡先輩かも・・
「はい、プレーンで助けて頂きありがとうございました。こんな偶然、ビックリしました!!」
高岡さんは、自分の荷物を席に置きながら、へっーと言っている。
「これは凄い偶然だ。富川さん。川橋さんとは初対面じゃ無かったよ。先月、欧州への出張中に、ドイツで偶然会ってた・・」
絵里が高岡さんと私を交互に見ながらニヤケている。
「それは運命の出逢いですね・・ それじゃ、川橋さん。頑張ってね!」
恵理はそう言うとウィンクして自分の席に戻って行った。
恵理の後ろ姿を見送りながら、高岡さんが言った。
「それじゃ、ボスに挨拶に行こうか・・」
「ボスって、部長ですか?」
高岡さんが大きく首を振る。
「執行役員のカーラさんだ。アメリカ人の女性でとても優秀だぞ。ここ本社の商品企画本部は彼女の直轄だ。こっちへ」
高岡さんは私を連れてフロア内にある役員室へ向かった。彼が役員室の前の秘書に声を掛ける。
「はい、今は、大丈夫です。お入り下さい」
「分かった。ありがとう」
そう言うと高岡さんは役員室のドアをノックした。
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