初恋の記憶

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「どうしたんだ、こんな所に呼び出して」 「川橋さんが、兄貴に話があるんだって」 義信君がそう言うと、先輩は笑顔のまま私を見つめている。 心臓が爆発しそう・・ 今になって自分の”浅はかな”行動を後悔していた。 「君は、確か弟のクラスメートだったよね・・? 話って何?」 先輩が二回瞬きをするのが見える・・ どうしよう・・ 「えっと、先輩・・」 言葉が続かない・ 私を見つめる先輩のブラウンの瞳に私の姿が写っている。きっと耳まで真っ赤になってる・・ でも、ここで言わなくちゃ、一生後悔する!! 私は腹を括った。 私は目を瞑って勇気を振り絞った。 「先輩。卒業されるので最後のチャンスと思って勇気を出しました。ずっと・・好きでした。私とお付き合い・・して頂けませんか?」 言えた!! 私はゆっくり目を開いた。先輩を見ると柔らかい表情をしている。 「ごめんね」 先輩の口が確かにそう動いた。 えっ? ごめんねって・・ 私、振られちゃう・・?? 「えっと、川橋さんだっけ・・。僕はもう好きな娘がいるんだ。それに来月からの高校進学に合わせ家族と東京へ引越しちゃうから、君とは付き合えない。ごめん。それじゃ!」 先輩はそう言うと大きく手を振って走り去って行った。 私は頬を伝わると涙を感じていた。もちろん振られる可能性も高い事は分かっていた。でも、それでも私はYESが貰える事を願っていたんだ・・。 「川橋さん、ゴメン」 振り返った義信君が頭を下げている。彼も泣いている様に見える・・ 「なんで、貴方が泣いているのよ。関係無いのに・・」 「だって、兄貴が酷いから・・僕だったら絶対OKなのに・・」 私は、男の癖に泣くなよ・・それにOKって何だよと思いながら義信君を見つめていた・・
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