第1章 緑の夏

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「よし、これで今月のノルマは達成だな」 雅樹が大鎌から手を放して鎌を消したところで、雅樹の元へヨルが駆けつける。 「はい、この短期間でここまで出来れば十分です。 これでダーリンも立派な一人前の『罪人』ですよ」 ヨルは右手の指でオーケーサインを作り、持参していたタオルで雅樹……俺の顔の汗を拭いてくれる。 「そうか?まだヨルのアシストがないと不安なんだけどな」 「大丈夫ですよ。 ダーリンなら私がいなくてももうパペットを倒せます」 ヨルは俺の顔から手を離し、そういう。 「そうかな」 「はい」 自信満々に頷くヨル。 その自信は一体どこからくるのだろうか。 「さて、帰って晩飯にしようぜ」 作るのはヨルなのだが、もうそれにも慣れてしまった。 「はいっ」 あの文化祭からもう早いもので、一月ほど経った。 だが、小春がいなくても俺の生活は何も変わらなかった。 教室にも小春がいたと証明できるものは何一つ残っておらず、誰も小春の存在を覚えていなかった。 けれど、俺とヨルは覚えている。 小春は確かにここに存在していたということを。
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