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「よし、これで今月のノルマは達成だな」
雅樹が大鎌から手を放して鎌を消したところで、雅樹の元へヨルが駆けつける。
「はい、この短期間でここまで出来れば十分です。
これでダーリンも立派な一人前の『罪人』ですよ」
ヨルは右手の指でオーケーサインを作り、持参していたタオルで雅樹……俺の顔の汗を拭いてくれる。
「そうか?まだヨルのアシストがないと不安なんだけどな」
「大丈夫ですよ。
ダーリンなら私がいなくてももうパペットを倒せます」
ヨルは俺の顔から手を離し、そういう。
「そうかな」
「はい」
自信満々に頷くヨル。
その自信は一体どこからくるのだろうか。
「さて、帰って晩飯にしようぜ」
作るのはヨルなのだが、もうそれにも慣れてしまった。
「はいっ」
あの文化祭からもう早いもので、一月ほど経った。
だが、小春がいなくても俺の生活は何も変わらなかった。
教室にも小春がいたと証明できるものは何一つ残っておらず、誰も小春の存在を覚えていなかった。
けれど、俺とヨルは覚えている。
小春は確かにここに存在していたということを。
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