きっと届かない

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「今日の放課後、カラオケ行こうよ!」 私の机に飛び乗る勢いでやってきた私の想い人。 「部活は?今日練習じゃなかったっけ?」 文化部の私とは違って、運動部でレギュラーもしているこの子。 「あー、休み!って思っとく!」 くしゃっと笑う。試合の時とは違って、可愛さに溢れている。 「また部長に怒られるよ」 高校生活最後の試合を控えているんだから、しっかりと練習してほしい。 「いーのいーの、あの人なんだかんだ優しいから。ほら行くよ!」 手を取られる。少しひんやりしている、君の手のひら。 私の熱が移って行く。 この気持ちも体温と一緒に伝わればいいのに。 そう思っても叶うわけなんかなくて。 貴女のそんな、鈍感なところも好きだから。
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