とろろーぐ

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とろろーぐ

 結論から言おう。そのまま出社すると、会社には警察が押し入っており、俺は辛くも田和を連れて、ほうほうのテイで逃げることになった。幸いにも無能な俺たちは出向社員という扱いになっており、難を逃れた。  しかし、あの一室は会社の持ち物ということになっており、もう戻ることは叶わなかった。  それから、俺は田和と結婚をし、子供も生まれ、まともな職についたが、今だ口の周りと股間の痒みを幻想のように感じるこのごろである。  梅雨の時期になると、未だに痒さを思い出すのだ。そのやさしい痒さを。
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