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それじゃあ、といってお暇する。時刻は九時過ぎ。いくらなんでも、若い――かどうかは知らないが――男女が一緒にいてもよい時間を超えてしまうのは、という程度の自制は俺も利く。
「ええーもうちょっとテレビ見ない?」という彼女には他意はあるのだろうか。明日も早いので、といって彼女と自分を納得させる。
「それじゃあ、また明日も来るでしょう?」といって笑いかける彼女に、
「そうですね。是非とも」とにこやかに返す。
丁寧に扉を閉め、その一つ隣の扉を乱暴に開く。同じ間取りなのに、どこか空虚だ。
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