擦るぜとろろを

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「ん……」ととろろさんが呻く。でも抵抗はなかった。長いキスを交わし、右手が彼女の乳房? に相当する部分に伸びる。  ☆  そこからはお決まりのコースだ。「合体!」でも、「愛を育む」でもなんでもよい。ただ、一体誰が人間ととろろの交わりを知りたい?  一言だけ、とろろさんはすごく良かった。昨晩の田和がいわゆる「ミミズ千匹」だとすると――それはそれで得も言われぬアレなのだが――こっちはもう「トロトロ」だ。「とろろ」の「とろとろ」だぞ。「人間」の「ミミズ」では勝負にはならんだろう。  ☆  ソファの上、けだるい午後。 「しちゃった……ね」  とろろさんが口を開く。俺は寝たふりを続ける。  ふふ、と彼女が笑う。俺の頬を撫でる。とろろだ。  結局一日仕事をサボってしまった。罪悪感は感じるが――それは仕事のせいではない。  パチリ、と目を開けると、 「あ、起きてた?」と彼女が手? をさっと引っ込める。 「ううん、今起きたところ」  立ち上がり、スーツを着る。何故って、下着しか着てないから。 「もうちょっとゆっくり――」と彼女が言うが、その後の言葉は続かない。 「うん、そうよね。会社に行った方がいいわよね、たぶん」  うん、そうだよねと自分に言い聞かすように、彼女がごちるのに反応はしない。出来ない。     
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