擦るぜとろろを

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 そう、所詮俺たちは人間ととろろで、しかも彼女には愛する夫がいる。こっちが油揚げをさらうような真似はできない。それでは幸せにはなれない。 「じゃあ……また」と言って、逃げるように扉を開け、会社に向かう。それが俺が出来る、精いっぱいの挨拶だった。今は。
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