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ともあれ、会社には何も期待されていない。唯一期待されているのは「余計なことをしないこと」だが、どうやらそれすらも守れていない俺は粒ぞろいの厄介者、お荷物、ごく潰しの中でも平均的なクズであることは隠しようがない。あくまで平均である。もっと悪い奴ならごまんといるさ!
もっとも、会社も会社で二代目は放漫経営はするは、子会社は足蹴にするは、就活生は抱くわでもはやなんで企業として成立しているのかは皆目見当はつかないが、ごく潰しの給料を出してくれているので何かを売って生業としているのだろう。コカインを固めたフィギュアでないことを祈るばかりだ。
☆
一応この部署では唯一まともに業務が可能な俺に負担がより、帰るのはいつも18時頃になる。他の皆さんは早々にテトリスやソリティアを切り上げ――部長は何か経済紙を読んでいたようだが――帰宅されている。残業と言えば残業になるのだが、大したことは無い。
お疲れ様でーす、という言葉がオフィスに空虚にこだまする。別に何も期待していない。守衛さんにもにこやかにあいさつをし、「このごく潰し共が」という言葉を聞かなかったことにして帰路につく。
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