夏の校舎の大人たち

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*** 「暑い……」 9月に入ったとはいえ、まだまだ夏本番のような日差し。 裏門付近には日陰がなく、日傘を持ってこなかったことを後悔していた。 裏門の警備の仕事は、買い出しに出る生徒の確認と学校内に入る業者のために門を開けること。 特に忙しいわけでもなく、ただただぼーっと裏門を眺める。 さっき生徒と一緒に机と椅子を運んだせいで、早くも腕が筋肉痛気味だ。 「よっ、ご苦労さま」 後ろから声が聞こえて振り返ると、ペットボトルが顔面に当たった。 「痛っ……!って金子先生!」 「案外どんくさいんだな、最上先生」 「危ないから物を投げちゃいけませんって、日頃生徒に注意してませんか?」 千波が投げてよこしたペットボトルを拾う。 よく冷えたスポーツドリンクだ。 「教師が熱中症になったら笑われるからな。それやる。じゃあな」 「あ……ありがとうございます!」 千波は振り返らず、また手だけをひらひらとふりかえして去って行った。 (なんだかんだ、優しい人なんだよなー。金子先生は) 冷えたペットボトルを首筋に当てる。 ちょっと生き返る気がした。 (よし、明日の文化祭本番、頑張るぞ!) 気合いを入れて、スポーツドリンクを一気に半分ほど飲み干した。 ところで、教員って文化祭楽しんでもいいのかな、なんて思いながら。
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