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~瀬川 海斗 (せがわ かいと)~
大学院修士課程を卒業して東京に出てきた俺、誰も知り合いがいない大手スーパーゼネコンの設計士として採用されても、入社3年は営業として勤めなくてはならなくて、3年経ったからと設計士になれる確証がないから、建築関係の資格をとったり、営業としてクライアントと意思疎通を図り、クライアントの求めるイメージを設計士に伝え、仕事をとり、営業成績を上げることに、日々邁進していた。
仕事中心の生活。大学時代に付き合っていた2才年下彼女との連絡も怠るようになり、同期の呼びかけで気晴らしでコンパという飲み会で羽目を外し、東京の派手な割り切った関係を持てる女性と、毎週金曜日に行われるコンパの後に俺の部屋でワンナイトラブを繰り広げていた。
俺の誕生日の前の日も、いつも通り、コンパの後に俺の部屋に、許容範囲内の女を口説き落とし、ワンナイトを楽しみ、そのまま眠りについた。
次の日、いつも通りに昼前に起きたら、キッチンの食卓テーブルに、本命の彼女に渡した合鍵と彼女のペアリングが置いてあった。
彼女が来て、俺と見知らぬ女がベッドで裸で寝てるのを見て、何も言わずに、別れを告げて帰って行った事に気付いた。
それに対して、俺は考える余裕がないほど、仕事に疲れていた。
大学時代に大切にしていた彼女を失ったのに、なにも感じなかった。
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