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恋人同士に戻ろう side 海斗
咲花の小さな手を握り、BARから歩いて10分ぐらいの場所にある俺のマンションに連れてきた。
建築デザイン設計課に配属されて、早朝から深夜まで働いて帰宅難民になって困ったから思い切って、オフィスビルの側のこのマンションを購入した。
「賃貸じゃなくて、分譲?」
「賃貸は家賃払い捨てだから、思い切って購入した」
「さすが、大島建設の売れっ子建築士」
6LDKのファミリーマンション
咲花を仕事部屋に案内した。
ファイルに整理して棚に並べてる今まで手がけた建築デザインの図面やコンペティションで使った資料などを、咲花に自由に見ていいと言っても、手に取るのを躊躇する咲花。
競合企業に勤めてるから、モラルに反するのではと悩んでるようだった。
「過去の建築デザインだから、見ても問題ない」
と声をかけたら、咲花はファイルを手に取り、ペラペラと見始めた。
真剣に夢中に俺の過去の建築デザインの資料を読んでる咲花を見て、和んでる俺
半同棲状態で、咲花と建築デザインの仕事をしていた学生時代を思い出す。
あの頃に戻りたい
今の仕事も充実している。
でも、隣に咲花がいないのが寂しくて、あの頃ほどにはやり甲斐を感じない。
4年分の手がけた建築デザインの資料だから、1日やそこらじゃ全てを見終わらない。
気がついたら夜が明けていた。
徹夜で咲花は見続けていた。
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